眼瞼痙攣
このページを開くと、書きたいことがなにもなくなってしまう。歩いているときは言いたいことが山ほどあって、考えていることもいくつもあって。
雨で濡れたビニール袋が氷った水たまりのような円を作っていた。
しばらく眺めて、もう一枚写真を撮った
しばらく眺めて、もう一枚写真を撮った
寝転んで空を撮った
コップの氷が溶けて崩れるときの速さで、空を仰いだ
古ぼけたアパートが解体されて新しいアパートが建った。
人通りの多い駅で弾き語りの歌声が遠くから聞こえてきた。その声の主が、そこに来るまでの、決心して家を出て辿り着くまでの、静寂をまとった絶妙な呼吸のことに思いを馳せる。
すべての家が人みたいに見える
曲がり角があると自転車や車に轢かれないか心配になる
人がまばらのバスとすれ違う
夜が更けても雲が見える
まだ明かりのついた家がある
知らない曲の知らない歌声がまだ耳に残っている
夏の風がまとわりついてどこかに消える
この路地の向こうにはまだ道がある
2022/07/07